モーセは、80歳で神の声を聞いて「エジプトからイスラエルの民を救い出す」という特別の使命を与えられました。
これを「召命」と言います。
「召命」には二つの特徴があることがわかります。
今日は3つ目、「緊急性」について説明します。
9 今、見よ、イスラエルの子らの叫びはわたしに届いた。わたしはまた、エジプト人が彼らを虐げている有様を見た。
聖書(出エジプト記3:9-10)
10 今、行け。わたしは、あなたをファラオのもとに遣わす。わたしの民、イスラエルの子らをエジプトから導き出せ。」
「今、見よ」
「今、行け」
神様が人を召し出す時は、緊急性を伴います。
「今」「今」「今」
モーセが必要なのは、「今すぐ決断し、すぐにそのように行動すること」でした。
最近売れているビジネス書は、口を揃えて、「早く行動せよ」と言います。
『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』という本を書いた塚本亮(つかもとりょう)さんは、「結果を出す人と結果が出せない人は、何が違うのか」を考えた末、あることに気がついたそうです。
それは、成功している人は「行動が早い」ということ。
そして、彼は、偏差値30台の勉強嫌いからケンブリッジに入学しました。
確かに、今日の箇所からも神様も「行動が早い」なあと感じますが、この「行動が早い」ということには落とし穴があります。
それは、「どのような行動をするか」がもっと大事だということです。
どんなに早く行動しても、その行動が間違っていたら、大きな失敗を犯し、人生を棒にふる可能性もあるからです。
実は、モーセは、元々とても行動が早い人でした。
彼は40歳でエジプトの王子だったとき、エジプト人に虐げられている奴隷にイスラエル人を見ました。
モーセもイスラエル人なので、彼はその正義感からエジプト人を殺して、イスラエル人を助けます。
11 こうして日がたち、モーセは大人になった。彼は同胞たちのところへ出て行き、その苦役を見た。そして、自分の同胞であるヘブル人の一人を、一人のエジプト人が打っているのを見た。
12 彼はあたりを見回し、だれもいないのを確かめると、そのエジプト人を打ち殺し、砂の中に埋めた。
聖書(出エジプト記2:11-12)
よく考えてみてください。
状況を見て、すぐに殺しました。
非常に行動が早いのです。
しかし、彼はその行動が命取りとなり、エジプトの王ファラオの反感を買って、荒野に逃げます。
そこで40年間、羊飼いとして過ごします。
彼は非常に行動が早かったですが、人生の大事な時期を棒に振る失敗をしました。
ここから、行動が早いからと言って成功するとは限らないことがわかります。
40年後に神様がモーセを呼び出します。
その時初めて、神様がモーセに緊急性を伴った命令をするのです。
「今行動せよ」
つまり、私たちは神の命令が下った時は、「すぐに行動するべき」ですが、神のタイミングではないとき、自分勝手な「早い行動」は人生をロスさせる可能性があるということです。
「すぐに行動せよ」という自己啓発は「自分のタイミング」しかなく「神のタイミング」が欠けているのです。
神のタイミングでなければ、何もしないことも最善になりうるのです。
「今だ!」と神様はあなたに言っているなら、これ以上引き伸ばさないでください。いますぐ決断し、行動してください。
もし、神様があなたに何も示していないなら、闇雲に行動するのではなく、神に祈って、神の御心を求めましょう。