はじめに
私が、銀行で営業戦略を考えていた時、ライバルに勝つための鍵は、どれくらい魅力的なキャンペーンを打ち出すのかということでした。
キャンペーンとは、例えば、「100万円以上の定期預金をお預け入れいただいたお客様には、特別に高い金利をご提供します。」
とか、300万円以上の場合は、ピーターラビットのオリジナルグッズをプレゼントします！」とかです。
銀行だけではなく、携帯電話会社、ホテル、レストランなどほぼすべての業界で、会社ごとに魅力的な条件で顧客を求めます。
宗教の世界はどうでしょう？
もし、各種宗教が、たくさん信徒を引き入れるために条件をつけるなら、一番魅力的な条件は何でしょうか？
多分の次の二つです。
一つ、私たちの宗教の神は何も要求しません。『しなさい』、『してはならない』はありません。あなたをわずらわせません！
二つ、しかし、信徒が望むことは何でもして差し上げます！あなたの必要を満たします！
これは、笑い話ではありません！
しかし、実際に、このような条件を掲げ、多くの信徒を獲得してきた宗教は、歴史を通して、いつでも存在してきました。
いわゆる、ご利益宗教であり、人間の要求が成し遂げられることを求める宗教です。
このような宗教の特徴は、何か？
善悪の知識の木がないと言うことです。
『しなさい』、『してはならない』がない宗教です。
私たち人間には、何かしらの神の存在を認める一方で、
心の奥深くには「善悪の知識の木なしで、神様の祝福を受けて生きて行きたい。」という欲求があります。
誰かに何か指図されるのは嫌だ。神であっても。でも、祝福は欲しい。
ですから、この世で最も多くささげられる祈りが以下のようなものなのです。
「神よ！私の要求に応えてください！でも、私に要求しないでください！」
このような、「善悪の知識の木なしで、祝福を受けて生きて行きたい」という人間の欲求と大きな関係があるのが、今日のテーマの「偶像礼拝」です。
それでは、善悪の知識の木4回目、創世記2:17から、今日も神様のメッセージを聞いていきたいと思います。
ゆうき牧師のYouTubeチャンネルでは、聖書の終末預言シリーズという世の終わりについて聖書が何を言っているかだけにフォーカスを当てた動画や、人生に適用できる3分間の聖書のメッセージ動画を見ることができます。少しでも興味のある方は、ぜひ、YouTubeのチャンネル登録をよろしくお願いします。
善悪の知識の木がない宗教形態や考え
17 しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはならない。それを取って食べるとき、あなたは必ず死ぬ。」
聖書(創世記2:17)
この善悪の知識の木の命令は、とても重要です。
それは、この善悪の知識の木を通して、私たち人間は、神に造られた存在であることがわかるからです。
そして、この正しい神様との関係の中で、神のご支配と守り、祝福の中で生きることが人間の幸せであるからです。
しかし、アダムが善悪の知識の木の命令を守らなかったように、人間は、善悪の知識の木の命令を無視するようなりました。
『しなさい』、『してはならない』がない、つまり、善悪の知識の木がない宗教形態や考えは以下の三つに代表されます。
まずは、
①呪術信仰
呪術信仰とは、神をコントロールする宗教形態です。
例えば、呪文は、言葉のパスワードによって、神の力を人間がコントロールすることです。
「開けゴマ！」なんかも、呪文の一つです。
アラジンの魔法のランプなんかもそうです。
魔法のランプに神を閉じ込めて、アラジンが好き時に撫でたら、魔神が出てきます。
そして、この神はランプを擦ったアラジンの願いを叶えるのです。
よく考えてみると、神がランプを持った人間に従っています。
日本ではよく、自動車にお守りが付いています。
お守りというのはどういう意味でしょう？
「袋の中に神を閉じ込めている」ということに他なりません。
つまり、呪術信仰とは、神をコントロールしようとすることであります。
もちろん、イスラエルの神、私たちの神は、人間にコントロールされる方ではありません。
なので、呪術で驚くことが起きた場合、タネがあるか、悪霊の仕業と見るのが妥当です。
神に支配されたくない！神をも、我々が支配するのだ。
『しなさい』、『してはならない』なんて言うな！
お分かりでしょうか？呪術信仰には「善悪の知識の木」がありません。
もちろん、聖書でも、神様はこれらのことを禁じています。
10 あなたのうちに自分の息子、娘に火の中を通らせる者があってはならない。占いをする者、卜者（ぼくしゃ）、まじない師、呪術者、
聖書(申命記18:10-12)
11 呪文を唱える者、霊媒をする者、口寄せ、死人に伺いを立てる者があってはならない。
12 これらのことを行う者はみな、【主】が忌みきらわれるからである。これらの忌みきらうべきことのために、あなたの神、【主】は、 あなたの前から、彼らを追い払われる。
本来は、神の支配の中に生きるべきですが、神をコントロールし、支配しようとすることが呪術信仰であり、大きな罪です。
呪術や偶像礼拝をしている人だけが、善悪の知識の木のない生活をしているのではありません。
私たちクリスチャンの中にも、①呪術信仰が入ってくるときがあります。
普段は全然祈らないけど、自分が困ったときなど、神様が必要になった時にだけ、アラジンの魔法のランプをこするように祈る人がいます。
そして、祈っても神様が自分の必要を満たしてくれないと、「なぜ、神様は私の祈りに答えてくれないの？」と神様のせいにまでするかもしれません。
もちろん、困った時に、神様に祈るのは間違っていません。
でも、自分でも気づかないうちに、その祈りが自己中心的になり、結果として神をコントロールしているようになってしまう可能性もあるので、気をつけないといけません。
何事でも神のみこころにかなう願いをするなら、神はその願いを聞いてくださるということ、これこそ神に対する私たちの確信です。
聖書(1ヨハネ5:14)
祈りの本質は神様の御心の通りになることです。
祈りは、神様を思い通りに動かす呪術ではありません。
次に、
②無神論
もちろん、聖書にも出て来ます。
悪者は高慢を顔に表して、神を尋ね求めない。その思いは「神はいない」の一言に尽きる。
聖書(詩篇10:4)
これは、言葉の通り、神はいないという考えです。
日本では、ごく自然に、「私は無宗教です」「神はいないと思います」と言う言葉を聞きます。
しかし、神の存在を消すならば、人間のアイデンティティを定義するのは不可能になります。
また、無神論は、神様の絶対的な基準を認めないので、「相対主義」という問題を引き起こします。
色々な定義がありますが、私の言う相対主義とは、絶対的基準を信じない、あるいは、絶対的基準を見出すのは難しいと言う思想です。
この相対主義は、現実で当たり前のように、起こっています。
テレビや芸能人の影響なのか、結婚前に男女関係をもつのは普通だと思っている人はたくさんいるようです。
聖書は、それを姦淫の罪と言っていますが、相対主義は神が定める絶対的基準を認めません。
「わたしがよいと思えばよい。他人には関係ない」「人それぞれ価値観は違うし自由があるんだ」
相対主義の何が問題なのでしょうか？
それは、相対主義は、聖書のメッセージが「神のことば」から「一般道徳」に引き下げられるということです。
この相対主義が教会に入った結果、クリスチャンの多かった欧米の教会は急激に力を失い、教会に罪がはびこるようになっているとあるアメリカの牧師は言います。
32%のアメリカ人が絶対的真理を信じる。
49%の福音派クリスチャンが絶対的真理を信じる。
(Barna & Hatch 2001,80)
神さまを主の主、王の王と賛美しているクリスチャンの半分が、実際は、絶対真理などはないと思っているのです。
つまり、無神論の行くつく先は、「食べてはならない」という基準を示す、善悪の知識の木を排除すること。
神様を私たちの人生から排除し、自分が物事の基準になって生きていくことです。
最後は、
③偶像礼拝
これが今日の一番のテーマです。
人間の歴史を見ると、人はいかに多くの偶像を作り、拝んできたかがわかります。
人の手で造っておきながら、それを「神様」だといって仕える人間の下心は簡単です。
偶像は人間に何も要求しません。
『しなさい』、『してはならない』なんて絶対言わないから楽なのです。
人間が何か欲しい時は行って福を要求すればいいのです。
お分かりでしょうか？偶像礼拝には「善悪の知識の木」がありません。
神様を王として仕えることを拒否した人類の歴史は、神様の代わりに、必要に応じて神を創造しました。
日本にも八百万の神（やおよろずのかみ）と言いますよね。
自然に存在するものに神が宿っていると考えることから数えきれないほどの神々がいると言う考え方です。
聖書の中で、その神々を代表するシンボルとして登場する神が「バアル」です。
バアルは、雨と嵐の神と言われています。
当時の中東では、農業が一般的でした。
今のようなテクノロジーもなく、イスラエルは雨季と乾季がはっきり分かれていたので、雨が降らなければ、農作物は取れません。
つまり、雨が降らなけれな、生きていけないということです。
なので、人々は、雨と嵐の神バアルを偶像として作って、祈ったわけです。
「雨と嵐の神バアルよ！雨を降らせてください！」
人間の必要に合わせて神を作ること、それが偶像です。
本来は、神に作られたのに、自分たちの必要に合わせて神を作るのです。
聖書には、他にも、多くの偶像が出てきます。
アシェラは多産の神。アシェラはバアルの妻です。
ダゴンは豊作の神。ダゴンはバアルの父です。
偶像同士が、どうやって、結婚して子供を産んだのでしょうか？
人間が作り出した人間の発想です。
この偶像礼拝というのは、くせ者で、イスラエルの民であっても、偶像礼拝をしてしまう失敗を犯しました。
有名な箇所は、モーセが神様からシナイ山で十戒を受け取る時に、イスラエルの民が作った金の子牛の偶像です。
1 民はモーセが山から降りて来るのに手間取っているのを見て、アロンのもとに集まり、彼に言った。「さあ、私たちに先立って行く神を、造ってください。私たちをエジプトの地から連れ上ったあのモーセという者が、どうなったのか、私たちにはわからないから。」
聖書(出エジプト32:1-4)
2 それで、アロンは彼らに言った。「あなたがたの妻や、息子、娘たちの耳にある金の耳輪をはずして、私のところに持って来なさい。」
3 そこで、民はみな、その耳にある金の耳輪をはずして、アロンのところに持って来た。
4 彼がそれを、彼らの手から受け取り、のみで型を造り、鋳物の子牛にした。彼らは、「イスラエルよ。これがあなたをエジプトの地から連れ上ったあなたの神だ」と言った。
この後、民の多くのものが主に滅ぼされました。
本来は、神に作られたのに、自分たちの必要に合わせて神を作り、自分たちの望む結果のために拝むのが、偶像礼拝であり、大きな罪です
先ほどのイスラエルの民がそうであったように、私たちクリスチャンであっても、③偶像礼拝の誘惑はあります。
私たちは、お金、権力、異性、仕事、自分の夢、趣味などが偶像になる場合があるということを知っています。
お金、権力、異性、仕事など自体が悪いのではなく、これらのものを使う目的が、神様の栄光を表すためか、私たち人間の栄光のためかという違いです。
神様よりも、私たちの必要を満たすことが優先されたとき、偶像礼拝につながります。
また、教会のために自分を合わせようとするのではなく、教会を自分の必要に合わせようとする人もいるかもしれません。
教会が自分の求めていることに合わなければ、すぐに違う教会に移る人がいます。
神様の言うことに従って行くことよりも、自分の考え、必要、欲求が強い人もいます。
三つの宗教形態や考えをもう一度見てみましょう。
①呪術信仰
②無神論
③偶像礼拝
①呪術信仰は、神をコントロールすること。
②無神論は、神の存在・基準を認めないこと。
③偶像礼拝は、神を自分の必要に合わせて作ること。
これらの宗教形態や考えの共通点は何でしょうか？
それは、つまるところ、善悪の知識の木がない信仰であります。
人生から、善悪の知識の木の命令を排除することです。
人は、善悪の知識の木を見て、「これだけは、食べてはいけない」という命令を思い出し、神様を恐れて生きます。
しかし、善悪の知識の木がなければ、「しなさい、してはならない」と言った神の命令もなく、基準もない。
結果、どうなりますか？
人が神のように振る舞うのです。
自分が神になること、つまるところ、これが、偶像礼拝です。
イスラエルの最初の王であるサウルは、何の罪を犯して、王座を剥奪されたか知っていますか？
偶像礼拝です。
意外でしょう？でも、聖書にそう書いています。
預言者サムエルは、サウル王にこう預言して告げます。
まことに、そむくことは占いの罪、従わないことは偶像礼拝の罪だ。あなたが【主】のことばを退けたので、主もあなたを王位から退けた。」
聖書(1サムエル 15:23 )
主のことばを退けるとは、主のことばに従わないことです。
「食べてはいけない」と言う善悪の知識の木の命令に従わないことと関係していますね？
神に従わないことは、つまり、自分が神のようになることと同じです。
これが、聖書の一番初めの創世記で示された罪の根源なのです。
適用
では、どうすればいいのでしょうか？
簡単です。
神の命令を守ることです。みことばに従い、みことばに生きることです。
神を恐れて、神に仕えること。
神が、私たちの人生の王にならなければいけません。
神がしなさいと言えば、する。
神がしてはいけないと言えば、しない。
簡単です！
そこに、理屈はいりません。
みことばを自分の必要に合わせて捻じ曲げてはいけません。
祈りは、私たちの必要を満たす魔法ではありません。
神が神で、私たちが神ではないのです。
ただし、従うということには一つ落とし穴があります。
それは、従う動機です。
私たちが神様に従う動機は、神さまとの愛の関係の上になくてはいけません。
神への愛が従順の動機、モチベーションにならなければならないのです。
神であるイエス様がまず、私たちに仕え、十字架で命まで与えられるほどに、私たちを愛されました。
その神の愛に感謝するからこそ、私たちも愛によって神に仕えるのです。
神様との愛の関係を持つならば、人間は幸せになります。
神の愛を受け、神の守りと導き、心に真の平安と希望、癒しを受けることができるからです。
先ほどのサムエルの箇所の直前の箇所にはこう書いています。
22 するとサムエルは言った。「【主】は【主】の御声に聞き従うことほどに、全焼のいけにえや、その他のいけにえを喜ばれるだろうか。見よ。聞き従うことは、いけにえにまさり、耳を傾けることは、雄羊の脂肪にまさる。
聖書(1サムエル15:22-23)
23 まことに、そむくことは占いの罪、従わないことは偶像礼拝の罪だ。あなたが【主】のことばを退けたので、主もあなたを王位から退けた。」
たとえ、神様に全焼のいけにえを捧げても、それが宗教的や、義務的であり、動機がずれていてはいけないのです。
神様を愛する心を込めて、神様に従うことが大切だと言っているのです。
リバイバルの例
イスラエルの歴史の中で最も大きなリバイバルは二つ。ヨシア王と、エズラ。
この2人の指導者によるリバイバルには、共通点がありました。
それは、聖書に徹底的に従って、イスラエルから偶像を排除したということです。
①ヨシア王は、偶像を徹底的に破壊しました。
さらにヨシヤは、霊媒、口寄せ、テラフィム、偶像、それに、ユダの地とエルサレムに見られるすべての忌むべき物も除き去った。これは、祭司ヒルキヤが【主】の宮で見つけた書物にしるされている律法のことばを実行するためであった。
聖書(2列王記23:24)
これらの行動の基準は何ですか？
神殿から見つかった律法の書です。
聖書です。
②エズラは、偶像を徹底的に排除しました。
10 今、こうなってからは、何と申し上げたらよいのでしょう。私たちの神よ。私たちはあなたの命令を捨てたからです。
聖書(エズラ9:10-12)
11 あなたは、あなたのしもべ、預言者たちによって、こう命じておられました。『あなたがたが、入って行って所有しようとしている地は、そこの国々の民の、忌みきらうべき行いによって汚された汚らわしい地であり、その隅々まで、彼らの汚れで満たされている。
12 だから、今、あなたがたの娘を彼らの息子にとつがせてはならない。また、彼らの娘をあなたがたの息子にめとってはならない。永久に彼らの平安も、しあわせも求めてはならない。そうすれば、あなたがたは強くなり、その地の良い物を食べ、これを永久にあなたがたの子孫のために所有することができる』と。
10 祭司エズラは立ち上がって、彼らに言った。「あなたがたは、不信の罪を犯した。外国の女をめとって、イスラエルの罪過を増し加えた。
聖書(エズラ10:10-11)
11 だから今、あなたがたの父祖の神、【主】に告白して、その御旨にかなったことをしなさい。 この地の民と、外国の女から離れなさい。」
これらの行動の基準は何ですか？
これもまた、律法の書です。
聖書です。
まとめ
この聖書には、神様の基準が書かれています。
私たちの周りには、もはや、善悪の知識の木はありません。
しかし、聖書を通して、神の基準、命令、計画、愛、御心が示されています。
その神様の御心に従っていきましょう。
今、人生で不安や、悩み、恐れ、悲しみ、絶望、傷に苦しんでいる方がいるなら、
何かを求めているならば、神様との正しい関係を持ってください。
神の愛を受け、神の守りと導き、心に真の平安と希望をもつことができます。
できるか、できないかを考えることが重要なのではなく、
するか、しないかが重要です。
本気で、神様に従いたいと思われる方は、一緒に祈りましょう。
神様が助けてくれます。
そして、それで終わりではなく、私たちは、聖書のみことばによって、ヨシア王のように、エズラのように、あらゆる偶像礼拝を除き去らなければいけません。
①呪術信仰
⇨神を思い通りにコントロールしようとしてはいないだろうか？
②無神論
⇨神の存在・基準を認めず、神を自分の生活から排除してはいないだろうか？
③偶像礼拝
⇨神を自分の必要を満たすために作り上げてはいないだろうか？
神様を自分自身の人生の主人とし、王とし、このお方だけを礼拝して行くことを求める私たちでありますように、主の御名によって祝福します。
参考資料：
