あなたの周りに、こんな人はいませんか?
- いつもは親しいのに、ときどきグサッと傷つけてくる人
- 正義やモラルを盾に、あなたを悪者扱いしてくる人
- 出世や評価のために、ひそかに仲間を蹴落としている人
これらの人たちは、ひょっとすると、善人を装ってあなたを陥れようとするマニピュレーターかもしれません。
マニピュレーターとは、直訳すると「操る者」という意味です。
マニピュレーターの 「ターゲット」になると、気づかないうちに自尊心が傷つけられたり、人間関係が壊されたり、社内での居場所がなくなってしまったりと、さまざまな害があります。
旧約聖書のエステル記に、ハマンというマニュピレーターが出てきます。
ハマンは、ペルシャ王クセルクセスの部下で、エステルの養父モルデカイが、自分にひざをかがめてひれ伏さないことに立腹し、モルデカイの民族であるユダヤ人を皆殺しにする策略を企てます。
今日の箇所は、ユダヤ人虐殺のため、ペルシャのクセルクセス王を言葉で巧みに操ろうとする場面です。
ハマンはクセルクセス王に言った。「王国のすべての州にいる諸民族の間に、散らされて離れ離れになっている一つの民族があります。彼らの法令はどの民族のものとも違っていて、王の法令を守っていません。彼らをそのままにさせておくことは、王のためになりません。
聖書(エステル記3:8)
ハマンの説得を分析すると、巧みに結論を誘導しています。
①事実で始める
・散らされて離れ離れになっている一つの民族
➡事実
・法令が違う➡事実
②事実に嘘を混ぜる
彼らは王の法令を守っていない➡嘘
まったくそのような根拠がなく、法令が違うという事実と、法令を守っていないとう嘘をつなげます。
③全くの嘘
彼らをそのままにさせておくことは、王のためにならない➡嘘
結論がめちゃくちゃですが、聞いている方は、なんだか本当のように感じます。
また、ハマンは民族の名前を入れない。取るに足らない民族といいます。
ユダヤ民族と特定すれば、もしかして王が思いとどまる可能性があるので、あえて言いません。
私たちが聖書を読むときは、「ああ、ハマンは悪いやつなんだな」とだけ思いつつ、読み進めます。
しかし、彼の言葉を注意深く見ると、実に巧妙に嘘をおりまぜ、人を操ろうとしていることに気づくのです。
ハマンがうそをついた動機は何なのでしょうか?
論理的に自分を正当化したいということです。
事実は、本当は論理的におかしいのですが、嘘を混ぜながらも、おかしな論理て相手を論理的っぽく操るのです。
私たちの周りにも、マニピュレーターはいます。
しかし、実は私たちの誰もがこのような人を微妙な嘘で操作しようとすることはあり得るのです。
腹が立ったとき、人を妬んだとき、嫌な気待ちになったとき、私たちはそれを正当化するために、言い訳を言います。
相手が悪い。自分が怒るのも当然。相手が罰を受けるのはしょうがない。
本来は、腹がたったということを素直に認めるべきなのですが、私たちは、事実にうそを混ぜて、誰かを自分を正当化するために利用するのです。
じゃあ、腹が立ったとき、人を妬んだとき、嫌な気待ちになったとき、どうすれば良いか?
神にその気持ちをぶつけて祈ればいいのです。
怒りに身を任せて、罪を犯すより、神に任せることが安全なのです。